FJD自動操舵システム:誰がやっても、同じ質で作業できる環境へ
6 1月, 2026 by
cheerio.chen

2025年春、新潟県新発田市で約40haの水稲を栽培する   川瀬農園株式会社は では、   FJD農機自動操舵システム「AT2」   を2台導入 した。


代表取締役であり、新潟県認定農業士会会長も務める   川瀬雄介さん に、新潟県内におけるスマート農業の現状と、FJD自動操舵の使い心地を伺った

画像提供元:   川瀬農園株式会社 )


「そこそこ増えてきた」が、まだ“必須”とは言い切れない新潟の自動操舵

新潟県内でのスマート農業の普及について、「ここ数年で、そこそこ増えてきた」という一方で、普及率としてはまだこれからだともいう。

「『自動操舵がないと話にならない』というところまでの雰囲気にはなっていないですね。誤差精度(±2.5cm以内)に関しても、『そこまでの正確性は必要ないかな』という人も多いと思います」それでも、自動操舵機器の導入は確実に増えてきている。

米どころの新潟では、もともと米価が比較的高く、高齢でも離農せずに頑張ってこられた農家が多くいたが、ここ数年でリタイアする人が目立つようになってきた。新発田市でも離農する農家が増えており、その受け皿として川瀬農園の経営面積も徐々に拡大している状況だそうだ。

加えて、県内でも少しずつだが圃場整備が進み、大区画圃場も増えつつある。「例えば、これまでは田んぼの奥行が50mだったところが、200m、300mになるところも出てきています。自分でハンドルを握りながら、ずっと集中力を切らさずに作業し続けるのは大変ですし、自動操舵は確実に必要になってくると思います」



1本飛ばしの耕うんがベテラン並みに

「うちも経営面積が大きくなってきたんで、今年から知り合いの農家さんにオペレータを頼んでるんですよ。その方も、ご自宅では小さめのトラクターに乗って耕していたんですけど、今年からは体1つでうちに来てもらって、うちのトラクターに乗って耕してもらっています。これまで乗っていたトラクターとは勝手が違うし、ロータリの幅や間隔もわからない。そこで、自動操舵を使ってもらおうと思って導入しました」

川瀬農園のトラクターはセミクローラ仕様。クローラ部分はどうしても消耗品で、急旋回を繰り返せば傷みも早くなってしまう。「クローラなので、1本まっすぐ走ったら、なるべく隣接させずに1本飛ばしてやってもらいたくて。自動操舵の使い方を教えたら、本当にうまく覚えてくださって、きれいに1本飛ばしができていたんです。自動操舵を使えば、初めての人でも再現性高く、ベテラン並みの作業ができていいなと思いました」

『1本飛ばし』の作業は、集中力が切れてくると、ところどころ耕せていないところがでてきたり、逆に被り過ぎたりするところもでてくる。そこに自動操舵が入ったことで、作業のムラや仕上がりの不安がぐっと減り、誰が乗っても同じような結果が出せる環境に近づいたそうだ。

「これからは従業員として若い子も入れたいなと考えています。そういうときに、なおさら『ベテランしかできない技』みたいなものは時代遅れだと思うんです。誰がやっても同じように、再現性高く作業ができる。お米作りができるということが、これから絶対に必要になってくると思います」



資材高騰時代だからこそ、自動操舵が“ベストな対策”

「この資材高騰時代で、その対策としてはやっぱり自動操舵が一番ベストなのかなと思っています。これから先、米価がもっと上がるかもしれないし、下がるかもしれない。そういったなかで、100万足らずの投資で、今ある既存のトラクターのハンドルを付け替えるだけで使えるというのは、すごく導入しやすくていいんじゃないかと思います」

既存トラクターを活かしながら、燃料や作業時間のロスを抑える――AT2は、川瀬農園にとって「攻め」と「守り」を兼ねた投資になっているようだ。


肥料代の削減から「みどり戦略」への貢献へ?

「新潟県内では、汚泥肥料の活用がここ数年で結構広まってきています。チッソ含量が多くて、大型のブロキャスで散布したときに、肥料が被り過ぎると当然倒伏につながります」この「被り過ぎ」を防ぐうえでも、自動操舵が有効だという。

「自動操舵で散布幅をしっかりコントロールしながら作業できれば、肥料代の削減にもつながりますし、『みどりの食料システム戦略(みどり戦略)』にも合致してくるんじゃないかと思います」

燃料や肥料などのコストを抑えながら、高い再現性で作業品質を維持する――。川瀬農園の取り組みは、これからの新潟の水田農業における、自動操舵活用の一つのモデルケースになりそうだ。